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通常バラに施肥するときは、どんな肥料がおすすめかと問われると、庭植えの場合のみ、年末の寒肥と、植え付け時に地中に埋める元肥のみ有機堆肥を使うけれど、それ以外は「市販のバラ用の肥料」がおすすめで、私が普段使っているのはペレット状になっているバラ用の肥料だと答えます。
牛糞や鶏糞と言った有機堆肥は、虫が寄ってくるのとにおいが強いのとで、追肥には全く向かないと思います。家庭菜園でも、植え付け前の元肥は有機堆肥を使い、栽培期間中に追肥はあまりしませんが、あえてするときは緩効性化成肥料を使うようにしていました。
肥料について考えよう
年中バラが咲いているバラだらけの庭の手入れをしていると、「肥料はやっぱり有機堆肥?化学肥料とか普通の土じゃだめだよね?」と聞かれることがよくあります。
「化学肥料は人類の敵!」というような意見も聞かれますが、「肥料とは何か」から今一度振り返ってみて欲しいと思います。
有機堆肥は時間をかけて出来上がる
牛糞や鶏糞などから作られた「完熟堆肥」として市販されている「有機堆肥」は牛糞そのもの・鶏糞そのものではなく、それらを原料の一部として、時間をかけて分解をすすめて熟成させて出来上がったものです。
原料を山積みにしている間は何度も山を切り崩して混ぜ合わせて熟成をすすめるのですが、この間のにおいが問題になるほどすごいので、もともとの糞も匂うけれど、熟成期間もかなり匂うので、生ごみ堆肥も含めて自力で作るのはおすすめできないものの一つです(←やった。そして家族からも苦情が出た)。
長い時間をかけて微生物に分解していただいて出来上がった有機堆肥は、未熟の時とは比べ物にならないくらいにおいが穏やかになりサラサラになっていますが、それでも住宅密集地やベランダガーデニングで使うと、近所の人から苦情が出かねないものもあります。
有機堆肥はじっくりと分解されて効いてくる
有機堆肥は、完熟堆肥であっても、土に混ぜたら速攻で肥料として働いてくるのではありません。地中のバクテリアや有機物、ミミズさんなどに分解していただいて、ようやく肥料成分となって植物が吸収できるものに変わっていきます。
有機堆肥がじっくりと効いてくるのは、分解されるまで時間がかかり、じっくりとしか肥料になっていかないので、長期間ゆっくりとしか効きようがないからです。
虫が寄ってくるのは虫にとってはいいごちそうだからで、むしがよってたかって分解してくれるから肥料として効果が出てくるので、虫に寄り付くなというのもそもそもおかしな話になってきます。
化成肥料の原料は天然鉱物など
「化学肥料」というと、石油から作られた合成品だと思っている人が多いのですが、太古の動物の糞や遺体が化石化してできたリン鉱石、岩塩からできたカリ鉱石、空気中の窒素を主原料としています。これらが工場で加工され肥料のもとになり、様々な割合でブレンドされて、化学肥料が出来上がります。
わかりやすく言うと、化学肥料は特定の石と空気からできています。
水に溶けたらすぐに植物が吸収できる成分に加工されているので、まいたら即効果が出る即効性があり、においもあまりないのでまきやすくて、どかどかまいたらすごく効くだろうと思いがちなため、まきすぎになりやすい傾向があります。
土の中でじっくり分解されながらできてくる有機肥料と違って、水に溶けて流れ出してしまいやすい点があり、すぐに全部溶けずにゆっくり溶けていくように作られているのが「緩効性化成肥料」になります。
年末のバラのお手入れ
年末に、バラを樹高の1/2~1/3まで切り詰める「強剪定」をして、ついている葉っぱをすべて取り除き、春までにじっくり効いてくるように「寒肥」を施し、株もとにマルティングをした上にわらを敷き詰めて「寒囲い」をするのが年内最後のバラのお世話になります。
鉢植えのバラについては、有機堆肥を使うと虫が寄ってくるし、におい漏れがあるので通常の時と同じ「バラ用の肥料」を施肥するだけですが、庭植えのバラにする「寒肥」は、株もとに移植ごてでいくつか穴を掘って、有機堆肥を入れた上に土をかぶせる方法をとります。
バラの植木鉢の中に有機堆肥は必要か?
かつて、樹木の枝葉だけを原料にしてあるバーク堆肥なら、まだ虫が寄り付きにくいだろうと考えて、鉢植えの元肥えとして、バラ用の肥料とともに培養土に混ぜて使っていた時代がありました。
のちに、使い残しのバーク堆肥にコバエが大量発生しているのを発見してようやく気が付いたのですが、長年我が家の悩みの種だったコバエがいつも多い原因は、このバーク堆肥の多用でした。
バーク堆肥の使用をやめたところ、家の内外からコバエがいなくなりました。樹木の枝葉だけを原料にしてあるバーク堆肥ですらこれです。もっと栄養価の高い原料を使っている有機堆肥を鉢植えに使ったら、どれほど虫害が出るのか、考えるまでもありません。
ちなみに、腐葉土は、バーク堆肥よりももっと肥料分が少なく、肥料というより土壌改良剤として利用されています。土のふかふかの元ですね。