目次
1989年、フランスのメイアン社作出の「ピエール・ドゥ・ロンサール」は、2006年に殿堂入りし、現在も最も人気の高いつるバラとしてその名をはせています。
バラを愛する人ならだれでもあこがれる花姿、多花性に、育てたいバラとしても有名です。
ピエール・ドゥ・ロンサールは、初心者でも育てやすいとおすすめされているサイトが山ほどありますね。
ピエール・ドゥ・ロンサールについて、その魅力(?)について紹介していきましょう。
ピエール・ドゥ・ロンサールはどんなバラ?
ピエール・ドゥ・ロンサールの大きな美しい花姿と、壁いっぱいに広がり花盛りになった姿にあこがれる人は少なくありません。
花の美しさについては、改めて述べる必要もないほどです。
春先に、フェンス一杯、大きなピエール・ドゥ・ロンサールの花が咲き誇っているのを見て、「いいなあ、私も育てたい」と思う人は多いかと思います。
ピエール・ドゥ・ロンサールは一季咲き
ピエール・ドゥ・ロンサールは一季咲きのバラなので、春にしか花が咲きません。
「繰り返し咲き」に分類されることもありますが、ほぼほぼ春にしか咲きません。
無事巨大化した暁には、秋に数輪返り咲くこともありますが、そんなの咲いたうちに入るのか?と思います。
え?バラは春に咲くものじゃないの?と思われる人が多いのですが、モダンローズの大部分は四季咲きです。
四季咲きのバラは春から年末まで咲き続ける
ピエール・ドゥ・ロンサールのような一季咲きのバラに対して、「四季咲きのバラ」というものがあります。
四季咲きのバラは、春に一季咲きのバラと同じようにドカンと咲いて、そのあと年末に強剪定するまで花を咲かせ続けます。
季節により花数は変わり、真夏は咲かせないようにしますが、咲かせようとすれば咲きます。
「秋バラ」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、四季咲きのバラは、春が一番花数が多く、秋もまた花数が多くなるので、秋も見ごろでもあるため、秋の見ごろのバラを「秋バラ」と言いますが、同じバラの花をさしています。
冬に強剪定しなければ、四季咲きのバラは真冬でも、寒冷地であっても、ピエール・ドゥ・ロンサールの返り咲きの花数くらいは咲かせることが可能です。
でも、冬は休ませた方が株にはいいので、やめておくのが通常です。
バラの四季咲き性に対しては、育種家たちが品種改良の歴史の中で次々改良させ、1867年「ラフランス」というバラが、完全な四季咲き性のバラとして作出されて以降のバラを、「モダンローズ」と分類し、数多くのバラが作出されてきています。
四季咲きのバラは年中花を咲かせ続けるため、エネルギーを花に集中させるので巨大化するスピードは強健種でも一季咲きより遅くなりますが、花期の長さは他に類を見ません。
ピエール・ドゥ・ロンサールは巨大化する
ピエール・ドゥ・ロンサールは「つるバラ・クライミングローズ」であり、「強健種」です。
強健種は、病害虫に強いバラと思いがちですが、同時にたいてい、巨大化するバラです。
地上部が大きくなると同時に地下部も大きくなるので、周りに他のものは植えられません。
ピエール・ドゥ・ロンサールがあれば他には何もいらないと思いがちですが、花後は意外に早く来て、そのあと真冬に強剪定するまで葉っぱと枝だけがぐんぐん伸びていきます。
つまりは、春先一か月程度は豪華ですが、その後はずっとグリーンの生垣になり、真冬に強剪定した後は春先まで枝だけになります。
同じ強健種でも、四季咲きのバラの場合は、花を咲かせることにエネルギーを使い続けるので、巨大化するスピードは遅れますが、一季咲きのバラの場合は短い花期以外の期間をひたすら成長にエネルギーを使うので、あっという間に巨大化します。
鉢植えで育てる方もいらっしゃいますが、大きく伸びたがるジャンボ君をきゅうきゅう狭いスペースに詰め込むことになるので、ピエール・ドゥ・ロンサールの本来の性質がほとんど見られない、やるのは全くおすすめではない育て方です。
ピエール・ドゥ・ロンサールは広い敷地のある方向けなので、敷地が狭いなら一年の大半はグリーンの生垣の庭になるのを覚悟で植える必要があります。
ピエール・ドゥ・ロンサールは病害虫に強い?
ピエール・ドゥ・ロンサールは強健種なので、病害虫に強いバラです。
では、病害虫に弱いバラというのは、どういうバラでしょうか。
すぐにうどんこ病が広がる、黒星病もすぐに広がる、虫が付きやすい、全然育っていかない、雨がちょっと当たったくらいで蕾がダメになりやすい、そういったバラが病害虫に弱いバラです。
強健種と言えど、うどんこ病は全く発生しないわけではないし、黒星病も全くでないわけではありません。
強健種は病気が出にくく、広がりにくく、出たとしてもすぐに消えたりします。
もともと、バラというのは、病害虫に好かれやすい植物で、強健種でも、無農薬で育てようとすると、アブラムシやチュウレンジハバチ、ホソオビアシブトクチバなどにすぐに葉っぱを食害され、殺虫剤を散布していても食害されます。
一季咲きのバラは、花期がアブラムシが繁殖する時期より一足先に終わるので、蕾にアブラムシが付く暇がない点はお得ですね。
株の中に巣くって一撃でバラを枯らすこともあるカミキリムシの幼虫「テッポウムシ」が付くと、あれよあれよといううちに弱っていき、枯れかかるのは、ピエール・ドゥ・ロンサールでも例外ではありません。
強健種はかなり弱っても持ちこたえることが多いので、「枯れかかる」と言いましたが、テッポウムシがつくと、株が小さかったり、弱かったりすると、あっという間に枯れます。
春しか花が咲かなかろうと、四季咲きだろうと、冬に葉っぱをすべて取り除くまで、たびたび虫がつくことがあるので病害虫対策は欠かせません。
ピエール・ドゥ・ロンサールはどんな人向け?
「初心者でもピエール・ドゥ・ロンサールは育てられますか?」という質問をよく聞きますが、強健種なので放っておいても巨大化するから、初心者でも、少々栽培条件が悪くても、ある程度のサイズに育てられるので、栽培になれていない人にも枯らさずに育てやすいかと思います。
巨大化するので、大きめ、できれば3m四方の土地が用意できる人向けで、ベランダで鉢植えで育てるのは、初心者には難しいかと思います。
バラの葉っぱについて
バラの葉っぱは、春先は緑に茂っているけれど、夏ごろからだんだん寂しくなってきて、秋にちりはじめて、場合によっては冬でも残せるけれど、世話がへたくそだと葉っぱがなくなるけれど、そうでないと残せる、と思っている人は多いように思います。
実際は、夏の暑さで多少葉っぱが減ったり焼けたようになることはありますが、病害虫に侵されない限り、冬に強剪定ですべて取り除くまで、緑に茂っています。
これは品種によりません。
茂りすぎて枝が混みあってくると病害虫がその中に巣くいやすいので、風通しがよくなるように剪定して枝数を減らしておきます。
どのくらい減らすのか?というと、重なっている枝がないように、これがなくなったら全体にスッキリするだろうと思う枝を取り除きます。
はじめのうちはうまくいかないこともありますが、何度もやっているうちにうまくなっていきます。
チュウレンジハバチに気づかない人が多い?
都心の下町を散歩することが多くなり、自分ちの庭以外の庭をしげしげ見る機会が増える中で、バラの葉っぱが春以外に全く手入れされていないのが当たり前のように感じられました。
どうも暑くなると葉っぱがなくなるのは当たり前、花が咲くはずがないと思っているらしく、四季咲き品種と思われるバラにも明らか追肥が足りない様子が見て取れます。
チュウレンジハバチの幼虫は、はじめは小さいので、葉っぱに小さな穴が無数に空いていくだけですが、そのうちどんどん大きくなって、集団で食害するので、あっという間にはげちょびんのバラになりますが、季節のせいにしているんじゃないだろうか?と思わざるを得ないほったらかしぶり。
きれいに葉っぱの病害虫を取り除き、蕾が上がりにくくなってきたら追肥することを心掛けると、四季咲きのバラはもっとずっと咲いて、葉っぱもしげしげになり、春~真冬まで、花で庭先を彩ってくれます。
ピエール・ドゥ・ロンサールのような一季咲きでも、葉っぱに虫はつくので、花期以外でも葉っぱチェックをきちんとする必要があり、そうすることで株がより充実していい状態の株になり、同じ緑の生垣でも、生き生きした緑が保てます。
つるバラの一年間の手入れの仕方
ピエール・ドゥ・ロンサールも含めたつるバラの手入れの仕方を、ここで簡単にご紹介しましょう。
ピエール・ドゥ・ロンサールのような一季咲きのバラは、花の時期以外のほぼ一年間を伸びていく方向にのみ力を使うので、巨大化しやすく、奔放に伸びた枝をそのまんまにしていると見苦しいので、適宜手入れは必要です。
つるバラの誘引はできるだけ横方向に
つるバラやシュラブローズなど、つるがわしゃわしゃ伸びるタイプのバラは、横に寝た方向の枝から細枝が伸びてきて、この枝の先に蕾を付けるので、なるべく枝を横方向に多めに誘引します。
アーチに這わす場合も、蛇腹状に這わしていきますが、できる限り横方向が長く多くなるように誘引します。
バラの枝はしなやかですが、蛇腹状に曲げるといった強い曲げが可能になるのは、大寒の頃の寒~~~い時期のみで、バラが休眠しているスキにやります。
それ以外の時期には、すぐにのびすぎてびろんびろんになるので、他の枝と麻ひもなどで束ねたり、茂りすぎを切り落としたりといった、簡単な剪定のみにします。
つるをフェンスなどに誘引するとき
つるがのびてきてフェンスなどに誘引するとき、フェンスの柵と柵の間を互い違いに通しておくと、それだけで固定できるので、便利で正しい誘引の仕方だと思いがちですが、柵などの手前だけに誘引しておくのが正しいやり方です。
一度誘引したものを二度と外さないつもりならいざ知らず、定期的な剪定や冬の強剪定をするときに、柵の間を通していると、後から伸びた枝も絡みついているので外せなくなってしまいます。
外さないと誘引しなおせず、「外さないから」と言い張る人もいますが、切り戻ししないと下の方の枝には花がつかなくなっていくので、通年緑だけを育てるゾーンが増えていくだけになってしまいます。
外しやすいように手前だけに誘引していても、新しく伸びた枝が勝手に絡みついていてほどくのに苦労するので、さらにややこしくしないようにした方が作業性も上がります。
つるバラの追肥はほどほどに
四季咲きのバラは花が少なくなってきたら肥料切れのサインなので、すぐに株もとにバラ用の肥料をひとつかみまいて、追肥しますが、一季咲きのバラは(つるバラの大部分が一季咲き)、追肥しても花期が長くなるわけではないので、花が終わった後は、お礼肥としてバラ用の肥料をひとつかみあげたあとは、追肥はほどほどに行うようにしましょう。
肥料をあげすぎると、枝ばかりがぐんぐん伸びて、わしゃわしゃになってしまい、混みあった枝には虫が付きやすく、病気の発生源になりやすいので結局切り落として整理するばかりになります。
年末に強剪定して冬囲いする
冬にバラを休眠させてゆっくり株を充実させるために、樹高の1/3~1/2まで切り落として、葉っぱを全部取り除く強剪定を行います。
葉っぱを取り除くことで、今年の病害虫を来年に持ち越しません。
ちなみに、取り除かなければ冬でもわしゃわしゃで、勝手に葉が全部なくなったりしません。
株もとに穴を掘って、そこに有機堆肥を埋め込んで土をかぶせたる「寒肥」をした後、敷き藁をして冬囲いをします。
つるを長く伸ばしたいと、剪定を控えめにしてもかまいませんが、あまり控えすぎると枝の上の方ばかりに花芽が付くようになってしまうので、おすすめではありません。
枝を切り落とす場所は、葉っぱの付け根のところに赤いぷくんとした新芽が出ているところの上にします。