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観葉植物の栽培には、ふかふかの有機質の豊富な土が求められますが、室内栽培だけを限定して考えると、「有機質=コバエの巣窟」という模式図が出来上がっており、「室内に土は持ち込まない」という方も珍しくはありません。
そうなると、俄然脚光を浴びるのが、ハイドロボールと赤玉土です。
どちらも、無菌で有機質も肥料分も含まないので、コバエが住み着きにくくなっています。
ハイドロボールと赤玉土
ハイドロボールは、発泡煉石の一つで、つぶつぶのレンガみたいなものだと思って問題ありません。
逆に、発泡煉石は、ハイドロボールに限らず、セラミスグラニューやネオコールなど、いろいろあります。
最近は、100均でもハイドロボールが買えるようになったので、価格破壊が起こり、使いやすくなりました。
「最もおすすめの発泡煉石は?」と聞かれると、「コスパの観点から、ハイドロボール」と即答できます。
成形に高熱がかかるからほぼ無菌
赤玉土も、ハイドロボールも、加熱成形されています。
ハイドロボールは粘土を焼いて作るので、もちろん高温成形。
赤玉土でも、特に、硬質赤玉土は1000℃前後の高温にかけられています。
硬質でなくても、一般的には300℃前後の高温にかけます。
そのため、赤玉土もハイドロボールも、ほぼ無菌と言えます。
管理が悪いと、そうとも言えないので、室内で使う場合は、保管にも気をつけるようにします。
赤玉土はいずれ崩れる
赤玉土は、使っているうちに、崩れて微塵になっていきます。
「粉微塵(こなみじん)」の「みじん」とおんなじで、粉みたいにちっさくなったものを「微塵」といいます。
永久に使いまわそうなんて考えるのが悪い、と私は思います。
とはいえ、土を回収してもらえない都会では大問題ですね。
使い終わった赤玉土は、ベランダ栽培の、ふかふかの土に混ぜて使い切ればいいのではないか?と思います。
ハイドロボールは熱湯消毒して使い回せる
ハイドロボールの方は、熱湯消毒して使い回せるので、使おうと思えば、いつまででも使い回せますが、ハイドロボールは「穴がいっぱい空いている焼き物」なので、100℃じゃ死なない細菌がすみついてしまうことも考えられます。
熱湯消毒しても、塩素漂白しても、植物を育てようとしたら腐ったりする場合は、処分するのがおすすめです。
「どうやって熱湯消毒したらいいの?」「どうやって洗うの?」とよく聞かれます。
排水溝ネットに入れて、まとめて洗ったり、消毒したら便利です。
念の為、日光消毒とばかりに、おひさまによく当てるのもおすすめです。
普通の土から赤玉土・ハイドロボールに切り替えるには
普通の土で栽培されている植物を、赤玉土やハイドロボール単体での栽培に切り替えるには、やり方そのものは、簡単です。
1.鉢を外し、きれいに洗う。
2.土をできる限り、手で落とす。
3.根っこを水洗いして土をきれいに取り除く。
4.土の代わりにハイドロボールや赤玉土を使って植え付ける。
赤玉土の場合は、根っこの周りの土は残しておくこともできます。
どちらも、同じ鉢穴の空いた植木鉢に植え替えることも可能です。
というか、私の場合は鉢穴の空いた植木鉢に植え替えるのがおすすめです。
緩効性化成肥料を忘れずに
ハイドロボールも赤玉土も、肥料分が入っていません。
植え付けて3日位は、根っこを新しい環境になじませるために、置き肥しなくても構いませんが、3日後以降は、しっかり肥料を与えるのを忘れないようにしてください。
コバエブンブンにしないために切り替えたので、有機肥料ではなく、緩効性化成肥料を施肥するようにしましょう。
ときどき、水やりのときに、水の代わりに、規定濃度に薄めた液体肥料を与えると、即効性があります。
ハイドロボールの場合は適応不良を起こすことも
普通の土からハイドロボールに切り替えると、植物が新しい環境に対応しきれず、適応不良を起こすことがあります。
小さすぎる苗は、もともと弱いので、枯れることも。
大きく育ちすぎた苗も、適応力が低下しているので、枯れることも。
枯れるかもしれない危険を犯したくない場合は、赤玉土を選ぶほうがリスクが避けられます。
ハイドロカルチャーは根腐れしやすい
底穴のない器にハイドロボールを入れて(ザルに入れたハイドロボールを入れている場合もありますが)、底に水をためて栽培するハイドロカルチャー。
夏場、根腐れ防止剤を底に入れていても、根腐れしてしまうこともあります。
カビが生えたりすることも。
苔むすのは、まあ、当たり前。
なるべくやらないのをおすすめします。
長期不在のときだけ、底に水を貯めるくらいにしないと、植物は根でも呼吸しているので、腐りやすい技は使わないのがおすすめです。
ハイドロカルチャーから普通の土に切り替えるには
「ハイドロカルチャーから普通の土に切り替えるには、どうやったらいいの?」と聞かれて、答えに困ったことがあります。
この場合もやり方自体は簡単。
土から切り替えるほうがややこしいほどです。
1.鉢から植物を取り出す
2.土で植え付ける
やり方自体は、以上です。
新しい環境に馴染めないことも
植物は大抵すぐに馴染みますが、土質が植物そのものに合っているかどうかがポイントになります。
例えば、サボテンを普通の培養土に植えたりすると、枯れるケースもあります。
また、人が適応不良を起こすことがあります。
例えば、
コバエブンブンになってしまい、嫌になった。
水やり加減を失敗して、水をやりすぎた(やらなさすぎた)ため、枯れた。
この場合、文句を言われても困ります。
世話の仕方を間違うと、「環境を大きく替える」というダメージを受けたばかりなので、枯れてしまう危険性が高まります。
赤玉土や土で育てたほうが大きく育つ
ハイドロボールで育てるよりも、赤玉土や土で育てたほうが、観葉植物の成長スピードは格段に早くなります。
ぼやぼやしていると巨大化しかねない観葉植物の場合、ハイドロボールで育ててうまく根付いてくれると、巨大化が抑えられます。
大きくなりすぎてしょっちゅう植え替えしなくちゃいけない、といった煩わしさから開放されます。
もちろん、だんだんとは大きくなっていくので、植え替えはなしにはなりませんが、間隔が長くなります。
大きくなると嬉しいなと思う観葉植物の場合は、ハイドロボールに切り替えないのがおすすめです。
ハイドロボール栽培事例
理論的な話よりも、実際どうなのよ?と思う方が多いかと思います。
実際に長くハイドロボールで栽培してきた観葉植物がいくつかあります。
何度トライしても、うまくいかなくなるものも。
「適応できない場合もある」ことを念頭にトライしてみてください。
ガジュマル
ガジュマルは、多分、現在10~12歳だと思います。
半年~1年ほど100均で買ってきたままの状態で育ててから、ハイドロボール栽培に切り替えました。
2年ほど前から、ハダニが大発生し、ようやく落ち着いたところです。
買ってきた時は、樹高5cmくらいでした。(現在樹高35cm)
ストレリチア(多分オーガスタ)
ストレリチアは、現在約12歳です。
ネット懸賞で頂いたもので、はじめからハイドロボールで栽培されていました。
そのまま、ず~~~っとハイドロボールで育っています。
もらったとき、草丈は5cmくらいでした。
現在草丈35cmで・・・しかも、屋外栽培中。
シンゴニウム
シンゴニウムは多分5~6歳だと思います。
100均で買ってきて、そのまますぐにハイドロボール栽培に切り替えました。
「これ何?」と遊びに来たお友達が聞くほど、やけに貧相な時代が3年ほど続き、ようやく茎も太くなってきて、大きくなってきました。
ああやっと、馴染んだな、と思えるようになりました。
枯れそうと思ったことはないのですが、なかなかなじまなかったように思います。
買ってきたとき、草丈5cmくらいでした。(現在草丈20cm)
ハオルチア・ウンブラティコラ
つぶつぶのサボテン・多肉用の土と、小粒のハイドロボールとどれほど違いが出るのだろうか??と思って、株分けしたときに試しにハイドロボールでも育ててみました。
右端の鉢以外は、全て、鉢底に穴がないままで、穴があってもなくても同じように育つか?実験も兼ねていました。
元々は、粒度の整った砂に植えられていました。
サボテン多肉用土とハイドロボールの2種類で2年ほど育ててみました。
ハイドロボールで育てたのは、左下の小さなもの。
ハイドロボールのほうが、大きくなりにくかったのではないかと思います。
現在、面倒くさいのですべてサボテン・多肉用の土でまとめて育てていて、もとはどれか、ママン(親株のこと、右下中央)以外はまるでわからない状態になりました。
赤玉土単体栽培事例
室内栽培の私のバイブル「簡単!きれい!失敗知らず! 育てて楽しむ手のひら園芸」の著者榛原昭矢さんが、観葉植物の栽培には赤玉土単独、コバエやカビを防げるとされています。
植物男子ベランダーで、主人公が「腐葉土単体」で植物を栽培されていました。
先日ホームセンターで、熟成度合いが高い腐葉土を見つけましたが、まだ導入する決断を下せないでいます。
というのも、赤玉土単体は、観葉植物にはとても合っていると実感しているからです。
パキラ
トトロの置物の台車の中にちょこんと入っていたのは、10年ほど前です。
なるべく植え替えないようにして、トトロの台車に長くいられるようにしましたが、もう絶対入りません。
土が乾いてくると、色でもわかるので、管理もしやすいです。
夫が買ってくれたものですが、樹高は5cmくらいだったかと。現在樹高60cm。
ウンベラータ
育ててまだ半年たっていませんが、2回植え替える羽目になりました。
鉢底から根がでてきたので、致し方なく植え替えました。
その2ヶ月ほど前、カシワバゴムノキをハイドロボールで育てようとして、枯れました。
更にその半年ほど前、アポロゴムの木をハイドロボールで育てようとして、枯れました。
同じ頃、三度目のハイドロボールで育てようとしたコーヒーの木が枯れました。
コーヒーの木や、ゴムノキの仲間は、ハイドロボールに馴染みにくいようです。
赤玉土に植えたウンベラータは、100均からやってきて半年たっていないとは思えないほど、ぐんぐん育っています。
現在樹高は30cm。多分もとは、5~10cmだったと思います。
ポトス
枯れたカシワバゴムノキと一緒に買ってきて、ハイドロボール栽培したので一緒に弱りかけ、赤玉土栽培に切り替えて、結果としてポトスは生き残りました。
齢半年くらいでしょうか。
現在は元気になってきたように思います。
コバエの害もないし、扱いやすくていいなと思います。
もとは5cmくらいの小さなものでしたが、現在15cmで葉数も増えました。
コバエコバエと言うけれど
「コバエがいる」「おかんの草(←観葉植物のこと)にコバエがいる」「コバエが取れた」
我が家の三人息子と夫の口からは、「コバエ」という言葉がよく出てきます。
「コバエ」=「虫」
と認識されるほど、コバエが忌み嫌われています。
まあね~~水やりすると、コバエが這い出してくるものもあるから、文句も言えません。
有機質が含まれている土に植えられているものは、どうしてもコバエと縁が切れません。
外の世界には、もっとえげつない虫がいるぞ!コバエがなんぼのもんやねん、と心の中で思っていますが、言えません。
実家は、ブンブン飛んでた。
うちなんて、かなりマシ。
私も、コバエは大嫌いだけど、コバエコバエと言われる方が、もっと嫌。
植物によっては、赤玉土単用や、ハイドロボール栽培が向かないものもあるので、致し方ないですね。