これから育てるつるバラを選ぶときとバラ・パスカリについて

バラの冬支度についてご質問くださったカビゴンさんから、素敵なメールをいただきました。

その中で、パスカリについての質問が1点ありました。

また、つるバラの美しさに魅せられて、バラに興味を持たれたとか。

本当はピエール・ドゥ・ロンサールを1階の壁から2階のベランダフェンスまで咲かせたかったのですが
先生のブログを見て変えてみました

この一文を見て、非常に心苦しいと思いました。

また、アンジェラアンクルウォルターを壁面に這わせる予定だとか。

記事を読んでくださった方も、同じような疑問を持たれた方もいらっしゃるかもしれないし、ツルバラの購入を迷う方も多くいらっしゃると思い、返信を記事の形で送らせていただこうと思います。

あと、先生といっていただけるほど立派でも専門家でもないので、「すももちゃん」でひとつ、お願いします。

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パスカリの鉢底が抜ける??

「パスカリ」の中で「育てやすいのですが、すぐにビックに育ち、鉢底が抜けます。」とあります。

「鉢底が抜ける」とは、なんとなく想像はつくのですが・・・???です

パスカリは、クイーンエリザベスを交配親にもつ品種です。

クイーンエリザベスの系統は、背が高くなるのが早く、はじめは枝の太さは1cmくらいですが、1~2年で、2~3cmの太い枝に育ちます。

地上部がでかくなると地下部もでかくなる

地上部分が大きくなる品種は、地下部もそれはそれは大きくなります。

ミニバラの根っこをご覧になったばかりなので、ピンとこないかもしれませんが、クイーン・エリザベスの系統のバラは、僅かな年月で、根っこはごぼうのようになり、とても長くなります。

ごぼう級の根が1本だけのこともありますが、それ以外にも結構しっかりした根を複数本ガンガン伸ばします。

野菜で言うと、ミニバラがナスくらいの根に育つのに対して、クイーンエリザベス系統は、ものすごくよく育ったオクラ級か、粘土質の土に植えたさつまいもの根っこ位と思っていただけたらと思います。

バラは地下にどんどん根を伸ばしていく

バラは地下にどんどん根っこを伸ばしていく性質があります。

地下部は、地上部と同じくらいの大きさになると言われます。

鉢植えの場合、ある程度は根の伸びを抑えられますが、地上部分からは見えていないので、予想以上に根の伸びる速さが早くて、驚かされます。

プラスチック鉢の場合、底の穴が複数空いている部分を打ち破って、そこから外へ飛び出していきます。

底の穴が少ない鉢や陶器鉢の場合、土が残っていないんじゃないか?と思うくらいの太い根をぐるんぐるんに鉢の中に繰り広げます。

それでも放置していると、鉢がパンパンになり、一番脆い部分を打ち破ってしまいます。

結局は、「底が抜ける」わけです。

陶器鉢の場合は、根詰まりで弱ってくるかもしれません。

つるバラを選ぶときに

「つるバラ」「CL」と書いてあると、「四季咲きではない」という意味にも使えるくらいなので、四季咲きでないものがほとんどです。

「返り咲き」「四季咲き」と書いてあっても、春以降の花数は非常に少ない場合もあります。

「返り咲き」でも、株が大きくなってくると、春以外の花数が増えるものもあります。

つるバラを選ぶときは、実際に春以降にどのくらい開花をするのか、確認をしておく必要があります。

また、どのみち春以降は花数が少なくなるのなら、はなっから春だけ限定で、ただただ春に豪華に咲かせる!という方向に突っ走ってもいいのではないかと思います。

どうして春しか咲かないピエール・ドゥ・ロンサールを誰もが植えたがるのか、私には理解できませんでしたが、春だけ豪華であればそれでいいじゃないか!ということで、スペースがふんだんに有るのなら、ツルバラはそれ一本!もアリかもしれません。

四季咲きなら作出年が近年のものから選んで

近年、ようやく正真正銘「四季咲き」と言ってもいいような、冬の花も見られるつるバラも生まれてきたようですが、春以降の花は少なめのものが多いようです。

四季咲きだろうと、一季咲きだろうと、春にはどちらもドカンと花は咲きます。

春限定は嫌だ!少なくたって冬まで花を楽しみたい!

そんな方は、作出年が近年のものを選ぶのも、一つの方法です。

四季咲きのつるバラは、それほど大きくならないものもあって、広いスペースがなくても楽しめるものもでてきました。

壁一面!に大きくならないツルバラは向かないし、どどんと大きくなるものには、広々スペースが必要です。

育てるスペースに合った大きさに育つのかどうかも確認しましょう。

ただし、作出年が近年でも、一季咲きのものもあるので、四季咲きのツルバラがほしいのであれば、本当に四季咲きなのか、春以降の花数も含めて、複数のサイトでしっかり確認してから購入しましょう。

つるバラは縦にも横にも育つ

つるバラは、横に広げながら上へ上へと育てていきますが、株全体の厚みもでてきます。

平面的に育ってくれればいいのですが、そうは問屋がおろさないようです。

バラ園のバラのアーチの裏側の、バラの株元はどのくらい太いんだろうか??といつも思います。

作出年が1960年代の頃のつるバラは、特に巨大化するタイプが多いので、秋バラは望めませんが、2階に向けて育てるのにはぴったりです。

バラひと株に、作業スペースも込みで、少なくとも壁から1m幅くらいは必要になります。

つるバラの大きくなる品種は、1本について3m四方は用地をキープして、他のバラや植物から距離を保ちたいので、広々スペースのある方に向く品種だと思います。

つるバラの誘引は蛇腹状が基本

つるバラを壁に伝わせる場合は、なるべく横向きになるように端まで誘引し、曲げて反対側に、またなるべく横向きに端まで誘引し、また曲げて元の方へ戻っていくというのを繰り返して横上へ横上へと誘引します。

3cmくらいになったぶっとい枝を曲げるのは至難の業なので、緩やかなカーブになります。

横へというより、斜めに誘引といった形ですね。

大寒の頃は枝が曲げやすくなるので、この頃誘引し直します。

もちろん、真っすぐ伸ばしたほうが伸ばしやすいのですが、横向きの枝に枝分かれがついて、でてきた枝分かれに花芽がつくので、真っすぐ伸ばしてしまうと花数が減ってしまいます。

十分な花数を確保するには、できるだけ横方向に伸びる茎を長くする必要があります。

壁に伝わらせるよりは、オベリスクにぐるぐる巻きにしたほうが多いのは、横向きに曲げていきやすい点にあります。

アンジェラとアンクル・ウォルター

アンジェラは、四季咲きと書かれているものも多いのですが、つるバラとして育てると、春以降はほとんど花を咲かせません。

アンクル・ウォルターの方も返り咲きですが、アンジェラよりは春以降の花が期待できるかと。

どちらも非常に大きくなるので、できるだけ離して植えたほうが、後々に作業がしやすいのではないかと思います。

アンジェラは、そもそもは花が房咲きになるフロリバンダローズです。

アンジェラは、つるをなるべく伸ばさず、つるバラにならないように、大きさを抑えて育てると、四季咲き性が強く出るので、通年花を楽しむのであれば、アンジェラはコンパクトな樹形に保つように、冬の強剪定を強めにしながら育てるのもおすすめです。

アンジェラを二階に届くつるバラとして育てる場合、春以降の花は楽しめませんが、唖然とするほどたくさんの花が春に楽しめます。

どっちにするかよく考えて、決めた育て方をするのがおすすめです。

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コメント

  1. カビゴン より:

    今日は
    今回もいろいろと詳しく解説して頂きありがとうございました
    ”バラの根”は相当に強いんですね 気をつけます

    あと、”地下部と地上部が同じぐらいの大きさ”というのは驚きです
    バラは目で見える部分は”綺麗・可憐でとても素敵”ですが、
    バラ全体というのはすごく”力強い樹木”なんですね
    感動です!

    超初心者ですが一生懸命(楽しく)バラとつきあっていこうと思います
    ”すももちゃん”のブログはぜひ今後とも参考にさせていただきたいと思います
    どうぞよろしくお願いいたします

    • kinarinosumomo より:

      カビゴン様。
      コメントありがとうございます。
      カビゴンさんのようなベテランガーデナーの方にも満足していただける内容になるよう、
      しっかり勉強していきたいと思います。
      年末に、庭植えにして長野でお留守番させているバラを何種類か、鉢上げして浜松に持ってこようと思っています。
      今月末には強剪定しようと思っているので、カビゴンさんが強剪定するときの参考になるよう、詳しく紹介していきたいと思います。
      こちらこそ、これからもよろしくおねがいします。