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シンボルツリーとして、庭木として、最も人気が高い樹木は何かと言うと、「シマトネリコ」が挙げられるほど、シマトネリコは人気があります。
そんな人気のシマトネリコの最大の欠点は、「近所でかぶることがある」ということだそうです。
シマトネリコがどんな樹木なのか、シマトネリコの育て方と合わせて詳しくご紹介しましょう。
シマトネリコはしなる美しい木
シマトネリコは、モクセイ科トネリコ属の木のひとつで、沖縄やアジア各地が原産地です。
トネリコは北欧神話にでてくる世界樹としても有名です。
小さな葉がひとつの柄に複数枚ついていて、細い木に青々と生い茂る姿が美しく、風にそよぐ姿は、いつまでも見ていたくなるような美しさがあります。
シマトネリコの木肌は、とても美しくなめらかで、非常にしなやかな木なので、よくしなります。
枝の剪定方法ですが、剪定をするとき細枝なので登ることはできないので、長い棒の先に引っ掛けてぐぐーっと引っ張りますが、折れることなく目線まで引き寄せることができます。
シマトネリコの育て方
それではシマトネリコの育て方をご紹介します。
シマトネリコは、一本の大木が大きく伸び立つような「一本立ち」にしたものよりも、複数本が寄り集まって「株立ち」したものに人気があります。
シマトネリコはかなり樹高が高くなっても、幹の太さがないまま育つので、複数本寄り集まったほうが自然な美しさが作り出せます。
シマトネリコは樹高が高くなっても幹が太くならないので、見通しを悪くしないという点から、街路樹としても利用されていますが、街路樹として利用するときは一本立ちのほうがよく使われます。
シマトネリコは樹木なので、育て方としても難しいことはありません。
庭植えにすると植え替える必要もなく、寿命は何年と限定されるものではありませんが、株立の場合、案外横にも上にも広がっていくので、十分な広さを確保した上で植え付けないと、扱いに困ってしまうことになります。
シマトネリコの鉢植えでの育て方ですが鉢植えにすると、根の成長も早く、すぐに鉢の中が根で一杯になる「根鉢が回る」「根詰まりする」状態になってしまいます。
できれば毎年、最低でも2年毎に、一回りか二回り大きな鉢に植え替える必要があり、植え替えないとすぐに根詰まりして枯れてしまいます。
せっかく寿命が長い植物なのに、短命に終わってしまう事のないよう、鉢植えで育てる場合は植替えは必要です。
シマトネリコの葉が落ちる?暖地と寒冷地で異なる性質
シマトネリコは、育つ場所が暖地と寒冷地では、性質が大きく異なる木です。
暖地で育てる場合、最大20mほどの樹高まで育つ性質があり、成長速度も速く都会でもすぐに5~7mにまで育ってしまいます。
寒冷地では、成長速度がゆっくりになり、樹高は3~5m以上に育ちません。
ただし、シマトネリコはもともと暖地の植物なので、ある程度の大きさまで育ったものでないと、屋外で越冬できません。
小さいものは-5℃で枯れてしまいます。
暖地では常緑樹ですが、寒冷地では晩秋に黄色~茶色く紅葉して葉を落とす落葉樹です。
暖地であっても、急激な寒さに当たるとシマトネリコの葉が落ちることもあります。
また、春先に傷んだ葉の一部が黄色くなり、葉を落として新しい葉に生え変わります。
常緑樹は季節が移り変わっても、葉は緑のままで紅葉はしませんが、葉っぱが生え変わらないわけではありません(松や杉だって葉を茶色くして落とし、新しい葉を伸ばします)。
常緑のはずですが、なんだかんだとシマトネリコは葉を黄色く替えて、その葉が落ちるということがありますが、また生えてくるので心配は要りません。
シマトネリコの花と実
シマトネリコは晩春に、薄い黄緑色のようなコロンとした丸みのある小さな蕾を枝先にたくさんつけて、白い花がふわふわと咲き乱れます。
マンサクほど長くはないのですが、白いリボンのような花びらがついていて、花が散った後は雪のように地面が白くなります
花後の実のほうが白~薄黄緑色の大きなもので、ふさふさとつけるので、遠目に見ると花が長く咲いているようにも見えます。
花が咲き始めるのは樹高が2mくらいからでも毎年見られますが、実がなるまで育つにはもう何年か、しばらく時間がかかります。
ただし、シマトネリコは雌雄異株、つまり、雄木と雌木があり、雄木は木が育ってきても花を咲かせないので注意が必要です。
我が家のシンボルツリーはシマトネリコ
家を買ったときに、シマトネリコを夫が汗を流して植え付けて・・・はいません。
大株を購入したので、庭の土を全部入れ替えるのとともに、プロにおまかせしました。
だってね、砂利やらなんやらがゴロゴロした、ガーデニングから言うとロクデモナイ土だったんですもの。
ちょっと背が低いナツハゼと一緒に購入して、土壌整備とあわせて植え付けもしていただきました。
もともと、樹高が3m近くあったし、プロが1m近く掘って植え付けたし、長野市街地は雪が積もるものの、豪雪地帯ではないので、防寒処理を何らしなくても、問題なく約12年生育しています。
東北以北や、同じ長野でも豪雪地帯では、屋外では越冬は難しいかもしれませんが、バラが虫だらけになっても涼しい顔でほとんど何も虫がつかないので、実に育てやすい樹木です。
ちなみに、「寒冷地では育たない」というイメージが強いせいか、長野市街地ではかぶることはこれまでほとんどありませんでした。
暖地・浜松のシマトネリコ
夫の単身赴任先が浜松になってから、近所を散策していて、なんとシマトネリコの多いこと。
猫も杓子もと言ってもいいほど、あちこちの一軒家のシンボルツリーにシマトネリコが植えられています。
「近所でかぶる」という話は、偽りではなかったとしみじみ思いました。
浜松のシマトネリコを観察していて思ったことは、
■暖地のシマトネリコは、寒冷地のシマトネリコより開花期間が遅くて長くて花の量が多く、蕾の期間が非常に長く、かなり幼苗のうちから実をつける。
冬に葉っぱを落とさないことが差の原因になっているのではないだろうかと思います。
■シマトネリコは塩害に弱い。
台風による塩害で、シマトネリコの一部分が枯れたようになっているものをいくつも見かけます。
被害の度合いは、イチョウや楓に比べるとかなり軽いのですが、松を「強い」として比較すると、「弱い」と判断できます。