目次
バラにつく害虫はあまたあるものの、最も強烈な被害をもたらす害虫といえば「カミキリムシ」があげられます。
かつて、カミキリムシは、虫が大嫌いな私でも触ることができる虫の一つでした。
大して被害がないので、動きが鈍いし、見逃してやってもいい虫の一つだと。
大きな間違いでした。
今や、私の天敵です。
「テッポウムシ」は、カミキリムシの幼虫の名前です。
白い、コガネムシの幼虫に似た虫です。
「白い悪魔」とよんでいいと思います。
コガネムシの幼虫の被害と比較すると
コガネムシやカブトムシなどの幼虫も、バラを枯らしますが、これはもっぱら、鉢植えに卵を産み付けられたケース。
狭いスペースで根を十分に張れないところに、根を食害する害虫の被害で、あれよあれよという間に枯れてしまいます。
あまりに元気が無いときは、鉢を外して根を確認するのがおすすめです。
外してみたら、白い芋虫がゴロゴロでてきた!というのがよくあります。
これがコガネムシなどの幼虫の被害です。
ところが、地植えの場合、多少のコガネムシやカブトムシの幼虫には、根が十分に広げられることからか、耐えられるようです。
バラの周りを掘ればでてくることがありますが、見つけたときは移植ゴテでどついて捕殺処分するだけで、必死の捜索をしなくても、大きな影響はありません。
カミキリムシの被害は静かに忍び寄る
カミキリムシの被害にあうと、バラは、あれよあれよといううちに、枯れ果ててしまいます。
カミキリムシの被害がピークに達したときは、バラは最後の力を振り絞って、見事な花を咲かせてくれますが、その後、みるみるうちに枯れ果てしまいます。
枯れ初めてから、枯れ果てるまで、かなり大きく育った大株でも、1週間位しかありません。
カミキリムシの被害の始まりはわかりにくい
バラが枯れ始めるのは、カミキリムシの被害の終焉です。
カミキリムシは、はじめ、大体において株元近くに、卵を産み付けます。
細い茎の部分に産み付けることもあります。
大体において、ひと目につきにくい、通路などの反対側、株の裏側に産み付けます。
テッポウムシが内部を食い尽くしていく
バラも、芯の部分が美味しいのでしょう。
芯の部分をどんどん食害していきます。
株の一部が空洞になっていくわけです。
テッポウムシもいい加減育ってくると、食べる量もうんちの量も増えるので、株元に、おがくずのようなものが見られることがあります。
本当はこれ以前に見つけられれば救える株も多いのですが、ここでも異変に気が付きにくいのが現状です。
なぜなら、地上部はそれほど元気がなくなっているわけではないからです。
途中で気づくのは難しい
場数を踏めば、なんとなくおかしい、ヤツがついたかもしれない!と、早期に思えるようになりますが、私自身、これがわかるようになるまで、大株を5本ほど失いました。
私がアヤシイと叫んでも、夫は何がおかしいか、わからないようです。
ただ、彼も慣れてきたので、黙ってのこぎりを出して、「どこ切る?」と聞いてくれます。
おがくずを見つけたときは終わりに近い
おがくずのようなものを見つけたときは、最後の駆除チャンスです。
テッポウムシがつくと、おがくずのようなものですぐわかる、といいます。
しかし、カミキリムシが株元に卵を産み付けるのに、おがくずが散乱するほど木を掘る必要があるとは考えられません。
つまりは、卵の段階で目に見えておがくずがでているはずがないことがわかります。
おがくずのようなものが見られたときは、テッポウムシがかなり食害して大きくなったときと、成長してカミキリムシに育ち、株の外にでてきたときになります。
まだ、中にいるテッポウムシが見つけられれば、駆除できます。
でてきてしまった親のカミキリムシを見つけられれば、それも駆除でき、更に被害が拡大するのを防げます。
テッポウムシがついても確実に枯れるわけではない
カミキリムシを見つけて捕殺し、その近くの株元を確認したら、大きな穴が空いていた、どうもここからでたらしい、というのを見つけることができます。
その場合、穴の空いたバラは枯れるのか?というと、そうとも言えません。
芳純は、直径70cmの巨大鉢とはいえ、鉢植えでしたが、おかしいおかしいと思ってたら、大穴が空いていて、カミキリムシを見かけたので倒し、穴はパテで埋めて、その後、元気を回復しました。
巨大なアイスバーグ、育ちすぎて困っていましたが、1週間で枯れ果てました。
クイーンエリザベスも枯れました。
被害箇所がわからず、どんどん弱って、スノーグースも枯れました。
ストロベリーアイスは、花数が少し少なめで、今年は成長がゆっくりだと思っていたら、おがくずを見かけ、翌年元気になりました。
ローゼンドルフシュパリースホップは、1/10サイズまで小さくなりました。
おかしい、おかしいと思っていたので、探したのですが、見つけられず、小さくなってしまいました。
プリンセス・ミチコは、株を半分失いましたが、テッポウムシを炙り出せたため、今も元気ですが、モーツアルトや、青龍など、被害を受けたバラは数知れずあります。
結論として、丈夫なバラでも虫の付きどころによって、食害の進み具合によって、枯れることはありますが、諦めずにテッポウムシを炙り出せれば枯れないこともあります。
すでにカミキリムシに育ててしまっていても、枯れない運のいいものもあります。
おかしいなと思ったときにやること
なんとなくですが、おかしい!と思うときがあります。
経験則なので、誰もがきづけないかもしれませんが、私は枯れたバラが4本目くらいで気がつけるようになりました。
残念ですが、気づいてなんとかしようとしても、救えないこともあります。
ハサミの先で株の傷みを取り除く
大体が株の裏側に被害が及びます。
鉢植えなら回せばいいのですが、地植えは回せないので、頭を上げると茎のトゲが刺さったりするので、変な姿勢のままひたすら株元のもろくなった部分をハサミの先などでえぐり続けます。
テッポウムシがついているあたりは、ハサミの先で簡単に砕けるようになります。
取れるものをあらかたとっても、穴らしいものが見つからないときもあります。
アヤシイ穴を見つけたらのこぎり登場
アヤシイ穴がでてきたら、のこぎりの登場です。
なるべく株を残せるように、穴を含んだ傷んだような株の一部分をのこぎりで切り落とします。
もろくなっているので、かなり簡単に切り進める、というのもテッポウムシがいる印です。
ギコギコ切り続け、穴をハサミで突く、というのを繰り返し、白い虫を見つけ出すまでがんばります。
大穴はパテで埋めてコーティング剤を塗っておく
切り口は、そのまま放置していても、実は大丈夫です。
すくなくとも、プリンセス・ミチコは、株を半分に切って、そのままにしておいて、5年ほど経ちますが、今も元気に生きています。
大きな穴が空いている場合、そこにアリンコが巣食ったり、ダンゴムシが出入りしたりすることがあるので、ウッドパテを埋め込んで置くと安心です。
植物用の木工ボンドのようなコーディング剤が市販されています。
ネットで購入してこれを切り口に塗っていたこともあります。
現在使い切ってしまったので、次は木工用ボンドでも塗るか、桜や梅のように、墨汁を塗っておくのもアリだと思っています。
テッポウムシ用の薬剤や植物用の薬剤
最後の仕上げに、テッポウムシ用の薬剤や、植物用の薬剤を穴の周りにかけておくこともありますが、大して予防ができません。
また、穴に殺虫剤を吹き込んでおいても、テッポウムシには効きにくいようで、被害が止まらないのがほとんどです。
薬剤をもっと強くしたらいいのでは?と思うかもしれませんが、強すぎる薬剤は、バラの方にもダメージを与えてしまい、ただでさえダメージを受けているバラが結局は枯れてしまいます。
カミキリムシ・テッポウムシの被害を食い止めるには
結論から言うと、カミキリムシ・テッポウムシの被害を未然に防ぐワザは、未だ見つかっていません。
バラだけでなく、果樹も簡単に枯らしてしまうことから、果樹園でもカミキリムシ・テッポウムシは嫌われています。
大学でも被害を少なくするために研究がなされているようですが、画期的な手段は見つかっていないようです。
早急に研究を進めてほしいですね。
試してみた!カミキリムシ・テッポウムシ対策
バラを何本も枯らされて、私がしくしく泣くので、夫がカミキリムシ・テッポウムシ対策をネットで調べて、「ダメでもやらないよりいいじゃないか!」ということで、やらされた対策が3つあります。
やってみて、実際のところ、効果があるのかないのか、よくわかりません。
だからおすすめというわけではないのですが、参考にしていただけたらと思います。
アルミホイルを株にまく
アルミホイルを株にまくと、キラキラしたものが嫌いなカミキリムシがよってきにくいということで、株の周りにまいてみました。
ホンマカイナという気持ちもあって、単にまいただけ。
そのいくつかは、風で飛んでいきました。
飛んでいないものは、なんと、中にダンゴムシが入り込んでコロニーを形成していました。
近所の人が、アルミホイルに非常に興味を示していたこともあり、すぐに撤去しました。
もし試されるのなら、アルミホイルの上と下を麻ひもで縛って、飛ばないように、ダンゴムシが入りにくいようににしておくのがおすすめです。
コーティング剤を塗りたくる
木工用ボンドの様な、植物用のコーディング剤を、夫が刷毛付きでネットで購入しました。
株元近くにしっかり塗りたくって、簡単に卵を産み付けられないようにするというワザです。
すでに中に巣食っているテッポウムシも呼吸ができなくなって死滅するというもの。
コーディング剤が固まる前に雨に濡れるとダメになるというので、よく晴れた日に必死で塗って回りました。
前述の芳純は、コーティング剤が塗ってありましたが、物ともせず、ど真ん中に大穴が開いて、カミキリムシがうろついていました。
テッポウムシを窒息させられなかったようです。
コーティングによって、これ以上卵は産み付けられなくなるのかもしれませんが、すでに入っているものには無力のようです。
白いものを株の周りに敷き詰める
「白い玉砂利を株の周りに敷き詰めたら、新しい被害がなくなった」という記事を夫が見つけました。
いいかもしれませんが、マルチング(マルティング)を敷くとか、肥料をまくとかするときに、玉砂利をいちいちどけたり敷いたりするのは面倒です。
「白いタイルを大量購入しろ」と夫から厳命が下りました。
一枚数十円のタイルが、ワンロット、数百枚単位で売られているのを探して、株の周りにタイルを敷き詰めることにしました。
一株に、5✕10cmくらいの小さい白いタイル10枚くらい、敷いて回りました。
めんどくさくないとは言いませんが、玉砂利よりは耐えられます。
試してみて思うこと
株をコーティングして、白いタイルを株元に敷き詰めてから5年ほど立ちますが、効果はよくわかりません。
被害は少なめになったように思います。
早い段階で気づけるようになったからかも??と思うので、コーティングをしたから、白いタイルを敷いたから減ったとは言えないように思います。
こまめに観察して、早めに気がつけるのが一番ではないかと思います。