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週末ガーデナーでもつるバラをフェンスに這わせて育てることができるのかというご質問への答えが途中までになっていました。後半についてお答えしたいと思います。
つるバラは大きく育ちやすい
つるバラは、まだ小さい新苗を購入しても、あっという間にフェンス一杯に広がってしまうほどよく育つもの。
通常、春にしか花を咲かせない一季咲きのバラの方が生育が早く、四季咲きのバラは通年花を咲かせるために成長に費やすエネルギーは一季咲きよりも少な目になるのですが、それでもつるバラはかなりハイスピードに感じられます。
2m幅程度のフェンスであれば、2年もしないうちにかなり見ごたえのあるゴージャスなバラフェンスに仕上がること請け合いです。
地上部が大きくなる時、当然地下部も大きく育ちます。
したがって、つるバラをフェンスに這わせるといっても、ベランダのフェンスではかなり巨大な鉢にするか、一本ずつは深さと直径が1mくらいの鉢で、冬に地上部だけでなく地下部も切り詰めるやり方で何とか間に合わせる方法をとるしかなく、つるバラは鉢植えで育てるのはあまり向いていないので、ビギナーはやめておいた方がいいかと思います。
時間があるときにしたいお手入れ
できれば毎日水やりするだけでなく、虫チェックや花殻摘みもやりたいところですが、時間が取れない場合、週末にまとめて虫チェックと花殻摘みをやるようになります。
葉っぱや蕾を食害する虫は、見つけたら葉っぱごと・枝ごと取り除いておくと、次に虫がついたときにもすぐに気が付けるのでおすすめです。
混み枝には虫が付きやすい
バラの枝が伸びてきて複雑に絡み合ってしまうと、絡み合ったところに虫は好んで巣くう習性があります。混み枝は風通しも悪くするため病気も誘発しやすいので、わしゃわしゃしてしまった小枝は切り落としてしまいます。
はじめての時はどこで切ったらいいのかわかりにくいのですが、葉っぱの付け根にぷくんと膨れている赤い芽が出ているところがあり、それが新芽になるので、新芽の上で切るのがおすすめです。
太いメインの枝を切ってしまいさえしなければ、少々切りすぎても枯れることはないので、思い切って切ってみましょう。何回かやっているうちに自分流のコツもつかめてきます。
花が少なくなってきたらバラ用肥料を株もとに
バラに元気がないわけではないのに、花つきが悪くなってきたら、肥料切れのサインです。株もとにバラ用の肥料をまくようにしましょう。
有機肥料にあこがれる人も多いのですが、花の頃の有機肥料はにおいの元なので、においの少ないバラ用に調合された即効性のある肥料を使うのがおすすめです。
牛糞堆肥や鶏糞堆肥を使うのは、植えつけ時の元肥えか、冬季の寒肥のように土に埋めてしまうときのみにしましょう。
有機たい肥はゆっくり分解されて徐々に効いてくるものなので、これからの生育に使う元肥え、春に向けて効いてくればよい寒肥に使うようにします。
年末に強剪定・寒肥・冬支度
バラの生育で最も大変なのが、年末に行う強剪定と寒肥の施肥、冬支度です。
年末には樹高の1/3~1/2まで切り詰める強剪定をして、ついている葉っぱをすべて取り除いてしまいます。
四季咲きのバラは強剪定しないと上手に休眠できずにだらだら花を咲かせてしまいます。
また、葉っぱを取り除くことで、この年の病害虫を来年に持ち越さずにリセットできます。
切る位置は、ちょうどいい高さの、赤く膨れた新芽がついているところの上です。
強剪定した後、残った葉っぱも取り除いたら、株もとに穴を掘って、有機たい肥を埋めて土をかぶせておきます。
この冬に来年のために施肥することを「寒肥」といい、有機たい肥は、じっくり分解されて翌年の花つきをよくしてくれます。
堆肥はバケツ一杯埋めても多過ぎませんが、株の周りに数か所移植ごてで穴を掘っては埋め、掘っては埋めを繰り返していきます。
寒肥を施肥し終わったら、株の周りにココピートなどのマルチング(マルティング)をかぶせた後、むしろやわらを敷いて防寒対策を施します。
来年取れなくならないようにフェンスの一面だけに誘引して
つるバラはどんどん伸びていくので、伸びた分をフェンスに這わせる作業も必要になってきます。
冬の強剪定をする前は、伸びたものをフェンスの内側に麻ひもなどで軽く固定して誘引しますが、なるべく横方向が長くなるように誘引します。
フェンスの目に通しながら固定すると麻ひもはいりませんが、さらに伸びた枝で固定されてしまい、外すことができなくなって剪定も難しくなってしまうので、内側の面一面だけに誘引します。
横に寝ている部分から新芽が縦に伸びていくので、横方向に伸びている枝が多ければ多いほど新芽がたくさんついて花がたくさんついていきます。
アーチなど幅の狭くて高さのあるものに這わせる時、蛇腹状に左右で曲げながら誘引していきますが、ぎゅっと曲げてもつるが折れないのは休眠期なので、大きく曲げる作業は耐寒の頃に行うようにします。
バラ以外のフェンスに這わせるのにおすすめの花は?
四季咲きのバラは春から年末まで花を咲かせられるので、この花期の長さに対抗できるつる植物となると、かなり限られてしまいます。
四季咲き大輪系のクレマチスは、冬は花を咲かせませんが、春から秋まで花を見ることができるし、水やりも肥料もそこそこで、虫にもあまり好かれないので手間いらずである程度ゴージャスという点ではおすすめです。
クレマチスは移植を嫌うので、一度植えたらずっとそこに植えるつもりで育てましょう。
水やりも肥料も剪定もほぼやらなくてもぐんぐん育ってあっという間に広がり、花期もある程度長いつる植物は?というと、「ナツユキカズラ」がおすすめですが、本当にはびこるし、白い花がびっしり長々咲いていますがとても小さな花がびっしり咲くのでバラに比べるとかなり見劣りはします。
黄色の「カロライナジャスミン」、白い花の「羽衣ジャスミン」も、ナツユキカズラよりは花も大きくなり、花期が長くよく育つつる植物でおすすめですが、カロライナジャスミンは毒性を持っているので小さい子供のいるご家庭には向きませんし、羽衣ジャスミンは耐寒性がそれほど高くないので、寒冷地にはあまりおすすめではありません。
四季咲きのつるバラも、四季咲きのクレマチスも、ナツユキカズラ・カロライナジャスミン・羽衣ジャスミンも、一度植えたらずっと育てていけるので、種をまいてグリーンカーテンにする一年草よりはるかに手間はかからないかと思います。